昨夜も深夜まで読んで(情報の流れを追って)いたら、
朝日新聞(東京)編集局から、3日の朝刊は「持ち禁」だという話が出てきた。
「持ち禁」とは、
スクープ記事があるときに
他社に追いかけられないよう見本刷りを「社外持ち出し禁止」にすることだという。
いまどき随分アナログなことをやっているものだと半ば呆れたが、
朝刊が「持ち禁」だという「つぶやき」は云わばスクープの予告ということになる。
時節柄、たぶん小沢絡みの話だろうと見当をつけ、検察が起訴を見送る方針を決めたのだろうと推測した。
ぼくの推測は当り、
朝日は朝刊一面のトップで「小沢氏、不起訴の方向 4億円不記載で検察検討」と伝えた。
(もっとも、もう一本、プリウスのブレーキ問題に関する記事もあり、スクープの二本立てだった。)
朝日、読売、日経の記事を比較しながら読めるWeb「あらたにす」で確認する限り、
他紙は夕刊でも小沢不起訴を報じていないから(読売は21時過ぎにようやく追いかけた)、
朝日にとってはしてやったり、乾坤一擲の「スクープ」だったのだろう。
しかし、ぼくは、繰り返し書いているように、こうした「スクープ」に意味があるとは思っていない。
石川議員(小沢の元秘書)の拘留期限が4日で切れるから、その時点になればはっきりする話だからだ。
せいぜい一日か二日早いだけの報道に血道を上げる意味が果たしてあるのだろうか。
抜きつ抜かれつの取材合戦がなければ新聞が発表ネタばかりになってしまうという声もあるが、
それをいうなら、
検察が頑強に抵抗を続ける「取り調べの可視化」を含め、
取り調べの過程を可能な限りガラス張りにしていくことを求めるのが先決だろう。
今回の「スクープ」は検察内部に太い情報ルートを持っていなければあり得ない話で、
そうした密接な関係は、一方で情報操作に踊らされる可能性があることをも意味している。
取材という行為には常に「両刃の剣」の側面がつきまとうが、
権力の秘密主義、隠ぺい体質を前提にしながらその隙間に食い込もうとする従来の取材姿勢の功罪は、
最近では世論操作に利用される「罪」の方が大きいのではないかと思っている。
さて、そうこうするうちに、
今度は上杉隆氏が書いた週刊朝日の記事(徹底した検察批判)に
東京地検特捜部が「捜査妨害」だとクレームをつけてきたという話が飛び込んできた。
きょうのお昼ごろのことで、これもtwitterでの情報である。
特捜部は編集長に「出頭を求めてきた」という話で、
当事者である上杉氏と、その周辺から出た「つぶやき」なので確度は高いのだろう。
朝日新聞編集局のtwitter担当者(デスク経験者がローテーションを組んで担当しているとのこと)が
「抗議はあったが、出頭要請の事実はない」と反論したが、
今度は「検察が記者クラブを通して朝日新聞に圧力をかけた」という情報が一気に流れた。
ぼくが知る限り、上杉氏とは同じフリーライターで同志的な関係にある岩上安身氏が情報源で、
検察の圧力に屈した朝日新聞が
(子会社の)週刊朝日に出頭要請の事実をなかったことにするよう求めたというものである。
既成のマスコミに不信感を持っている人ほど未確認のネット情報を盲信してしまうところがあり、
twitterの世界では上杉氏や岩上氏の情報を疑いようのない事実として受け止める向きが多いようだ。
ぼくはもっと冷静に、
真偽のほどは(ぼくには)判らないといっておくが、
マスコミと検察との「距離感」は常々気になっているところであり、
こうした一見信じられないような動きもまんざらあり得ないことでもないだろうとは思う。
NHKでも、
小沢問題に関して検察のリークの可能性を認めたという理由で、
視聴者対応窓口の担当者(契約社員)がクビになったというケースがあったばかりだ。
これなど完全な「過剰反応」だと思うが、
たぶん検察の意向を斟酌した記者セクションからの強硬な突き上げがあったのではないだろうか。
事態はいまや
正規軍(大手新聞やテレビ局の記者)と
ゲリラ(マイナーなTV番組やラジオ、週刊誌、ネット情報)が入り乱れる情報戦の様相を呈している。
双方ともに玉石混淆なので情報を取捨選択する受け手のリテラシーが問われるのだが、
大手マスコミによってあらかじめ選別された情報のみが流通する状態に比べれば遙かに健全だろう。
いずれにせよ、
検察が「捜査妨害」を理由に報道人に出頭を求めるようなことが事実であれば、これは大変な問題である。
一連の「小沢疑惑」にからむ検察の思惑、様々な水面下の動きを、
きちんと事実に即して明らかにしてくれる記事が現われれば、それこそ文句なしの「スクープ」だと思う。
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