大阪に着いたその足で福島のおでん屋「はなくじら」に向かった。
ご覧の通り、
往来とはよしずとビニールで仕切られただけで、
屋台に毛が生えたくらいの店構えである(写真上)。
狭い店のなかは客でごった返していて、外に順番待ちの列ができている。
いつも満員になる店らしく、
店の外にあらかじめ順番待ち用の椅子とストーブが用意されていた。
「食は関西にあり」と常々思う。
寿司と蕎麦と鰻を除けば、
たいがいのものが東京より大阪の方が旨い、そして安い。
おでんは大阪で「関東(かんと)炊き」と呼ばれるくらいだから
もともとは東の料理だったのかもしれないが、
京都や大阪のものは東京とひと味もふた味も違っていて絶妙に旨い。
出汁の文化が西で発達したことによるのかもしれない。
歩いて20秒ほどのすぐそばに支店があって、
ストーブにあたりながら待っていると、そちらが空いたからと案内された。
支店の方ははごく普通の店構えである。
大勢の客で混みあっており、如何にも大阪らしい活気がある。
まず大根を注文して、汁をたっぷりと吸った旨さに陶然とした。
店名を「はなくじら」というくらいだから、
つまみには「はなくじら」(鯨のおばけ)があり、
おでんにも「さえずり」や「ころ」が用意されている。
「さえずり」は他の地方ではあまり見かけないが、
鯨の舌を柔らかく煮込んだもので(写真下)、独特の食感がある。
ぼくは道頓堀の「たこ梅」という店で、30年ちかく前に初めて食べた。
「たこ梅」はいまもあるのだろうか。
いい店だったが、だんだん気楽に行ける値段ではなくなり、足が遠のいた。
「はなくじら」でも小さいのが二切れで800円とやはり高価である。
日本酒が「松竹梅」しかないのが玉に瑕だが、
何を食べても美味しく、
生ビールに焼酎を2合飲んで(「さえずり」も注文して)3800円。
一瞬勘定を間違えたのではないかと思うほど、安い。
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