その中でも特筆すべきは、ガソリンモデルのC200グレードに48Vマイルドハイブリッドが搭載されたことでしょう。
しかもこれ、エンジンの排気量は1.5Lにダウンサイジングされており、1.6Lのエンジンを積むC180より排気量が少なくなっているんです。
当然ながらC200の方がスペックが上なんですが、環境性能でもC200の方が上なんですよね。
これまでのセオリーからすると、逆転現象とも言えるこの事象。
おそらく、今後のトレンドとなることでしょう。
というわけで、ちょっと考察してみようと思います。
ひとまず、C180とC200のスペックでも見てみましょうか。
【セダン】
C180
- エンジン・・・ガソリン直列4気筒 1595cc 115 kW/156 hp, 250 Nm
- 環境性能・・・複合燃費 6.5-6.2l /100km, CO2排出量 149-141g/km
- エンジン・・・ガソリン直列4気筒 1497cc 135 kW/184 hp, 280 Nm
- 電気モーター・・・10kW, 160 Nm
- 環境性能・・・複合燃費 6.3-6.0l /100km, CO2排出量 144-136g/km
- エンジン・・・ガソリン直列4気筒 1497cc 135 kW/184 hp, 280 Nm
- 電気モーター・・・10kW, 160 Nm
- 環境性能・・・複合燃費 6.9-6.5l /100km, CO2排出量 156-148g/km
【ワゴン】
C180
- エンジン・・・ガソリン直列4気筒 1595cc 115 kW/156 hp, 250 Nm
- 環境性能・・・複合燃費 6.8-6.5l /100km, CO2排出量 155-148g/km
- エンジン・・・ガソリン直列4気筒 1497cc 135 kW/184 hp, 280 Nm
- 電気モーター・・・10kW, 160 Nm
- 環境性能・・・複合燃費 6.6-6.2l /100km, CO2排出量 151-142g/km
- エンジン・・・ガソリン直列4気筒 1497cc 135 kW/184 hp, 280 Nm
- 電気モーター・・・10kW, 160 Nm
- 環境性能・・・複合燃費 7.1-6.7l /100km, CO2排出量 162-153g/km
ご覧の通り、C180よりもC200の方が排気量が少なく、エンジン単体でのスペックが上回る上にモーターもアドオンされています。
そして上述の通り、C200の方が環境性能も上になっていますが、これまでのセオリーからすればスペックと環境性能はトレードオフの関係にあったのが、まさかの逆転現象なわけで。
さすがにC200 4MATICの方においては、C180の環境性能を超えることは敵いませんでしたが、その差は微々たるもの。
4MATICの利便性や安全性から考えれば、この程度の差は儲けものと言ってもいいくらいの僅少さでしょう。
さらに言えば、前輪に駆動力を与えるために設けられるトランスファーケースがあってスペースが割かれるFRベースの4MATICであっても、48Vマイルドハイブリッドが積めることがこれで証明されたともいえるわけで。
ところで、ちょっと前にSクラスに搭載されたばかりの最新技術である48VマイルドハイブリッドをCクラス、しかも売れ筋グレードに設定してきた理由は何でしょうか。
実はこれ、2021年に急激に厳しくなる「欧州CO2エミッション規制」を見据えてのことに違いないと読んでいます。
というのも、この「欧州CO2エミッション規制」の目標値は、企業(メーカーではなく大本の企業…ダイムラーとかPSAとかJRLとか)ごとに域内において販売される全モデルの平均CO2排出量から定められますが、それが達せられない場合には、その程度に応じて巨額(100万ユーロ単位=億円単位)の制裁金が課せられます。
この算式は車両の重量や年間生産計画などから定められるようで詳細は私も完全に理解できていませんが、至極簡単に解釈すると、よく売れるモデルほどCO2排出量を低くしておくことで目標の達成が容易になるものです。(逆もまた然りで、よく売れるモデルのCO2排出量が高いと全体の足を引っ張りやすくなるとも言えます。)
そんな背景もあって、売れ筋グレードであるC200に48Vマイルドハイブリッドを設定してきたのでしょう。
そこに来て、CO2排出量削減の本命であったディーゼルは、逆風吹き荒れるこの状況。
言うまでもなく、ディーゼルは燃費性能が良くてそれゆえCO2排出量も少なくなるわけですが、その目論見はやや外れつつあるように思われます。
となると、ガソリンエンジンの売れ筋グレードで何とかしなければ、ということになるはず。
ちなみにこの欧州CO2エミッション規制ですが、目標値(=EU域内で販売される全メーカー・全モデルの加重平均値)は95g/kmとあります。
これ、ガソリンエンジンの燃費に換算すると3.6~3.7l /100km(27~28km/L)となるわけです。
さらにちなみにダイムラーの目標値は100.7g/km、ついでにBMWは100.3g/kmとなっているようですが、これ、燃費に換算すると3.8~3.9l /100km(26km/L前後)となります。
こうやって見ると、本当に厳し過ぎるくらい厳しい目標値なんですよね。
今回、C200の環境性能が上がったとは言え、そのCO2排出量は未だ144-136g/kmです。
燃費で言えば、6.3-6.0l /100km(16km/L程度)にしか過ぎないわけですが、これを先述の目標値までに引き上げるのって、本当に容易じゃないですね。
しかもそれが、3年後に控えているわけですから。
そんなこんな諸々考えると、やっぱりこれからの欧州車の方向性は間違いなく『ダウンサイジングエンジン+モーター@48Vマイルドハイブリッド』ってことになるでしょうね。
で、おそらくですがこの手の技術は日進月歩になること請け合いと思われ。
とすると、モーター性能やエンジンアシストの効率が上がってくると思われ。
そうなるのならば、エンジンはますます小さくなるものと思われ。
そんなわけで2021年に向けての個人的な予想としては、Dセグメント以下は3気筒1000cc未満のガソリンエンジン+48Vマイルドハイブリッドという組み合わせがスタンダードになるような気がしています。
Cセグメント以下は同じエンジンをデチューンすることで、開発費を抑えつつ環境性能を向上させることもできますし。
また、Eセグメントでも積まれるガソリンエンジンは3~4気筒1500ccとかが普通になり、Lセグメントや大型SUVでも4気筒2000ccが標準的になるかもしれません。
といったところで、環境性能に的を絞って書いてしまいましたが。
結局のところ、マイルドハイブリッドがどのような乗り味を提供してくれるかということの方が、興味があるわけで。
そういった意味で、Sクラスのように田舎では試乗が叶わないようなモデルではなく、C200という売れ筋グレードに標準装備してくれたダイムラーは本当に素晴らしいの一言です。
ぜひ試乗したいですし、あわよくば・・・と妄想しつつw
その上陸を待とうと思います。
んでは!
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