私は一時期、日経先物もやってみたのですが、すぐにやめてしまいました。
何か理論的な理由があって足を洗ったわけではなく、単にやってて「なんっか気分悪っ!」と思ったという感覚的な理由です。
特にショートに馴染めませんでした。私の場合、ショートで儲かってもあんまり嬉しくなく、損した時はなぜか物凄くムカつくのです。つまり勝っても負けてもいい気分になれませんでした。
自分がなぜそう感じるのか、特に突き詰めて考えてないし、そもそも日経先物もやめたから考える必要も無かったので記憶からフェードアウトしかけてたのですが、この前ポケーっとコーヒー飲んでたら突然理由がクリアーになったのでつらつらと書いてみます。長いです(´ー`)。
その理由を説明するために、まず株式会社の歴史を振り返ってみます。
世界初の株式会社はご存知「東インド会社」です(設立:1602年 オランダ)
ヨーロッパの大航海時代、インドの香辛料は超高級品で、なんと同じ重さの金(ゴールド)と交換可能だったそうです( ゚o゚)。
すると、インドまで出かけていって香辛料を持ち帰り一攫千金を企む山師は当然のように出現します(いつの時代も山師はいますね)。
目的は一回の旅で大量の香辛料を持ち帰ることですが、そうなると陸路では効率が悪いのでおのずと海路での計画となります。
しかし海路は海路で、船の建造費や船員のサラリー、航海中の食料等とにかく莫大な資金が必要なのに加えて、嵐で難破するかもしれないし、海賊に遭って全員殺されるなどリスクも高い。
そんなハイリスクな「事業」に個人で全額出資してくれるエンジェルはなかなか見つかりません。
そこで考え出されたのが株式会社という仕組み。
多数の人から少しずつ資金を集め、もしも宝の山を持ち帰った暁には、出した資金量に応じて儲けを山分けしようじゃないか!というナイスなアイデアです。こうすれば出資する方も失敗しても損は小額ですむので参加しやすくなります。そしてこの出資した証として出資者に配った証券が「株券」です。
この仕組みは、非常に合理的かつポジティブな大発明でした。なぜなら
・出資者はリスクを限定した上で大きなリターンの可能性を得られ(投資家)、
・やる気は有るがカネは無い若者の夢を叶え(経営者)、
・船員の雇用や船の建造などの周辺産業の発展に貢献し(従業員・取引先)、
・持ち帰った香辛料で人々がおいしい食事ができる(顧客)
と、株式会社は「希望溢れる未来を高速に実現するのに最適な仕組み」だったのです。
実際、この東インド会社は約200年間続き、平均で年利25%、最大で年利75%という驚異的なパフォーマンスを叩き出したそうです。原始の株式会社はインカムゲイン目的だったのですね。
株式会社はこのままでも十分に良い仕組みですが、これに満足せずこの後さらに進化を続けます。
通常、船が帰ってくるのは出資してから1~2年後です。これはただ待ってる身からすれば結構長い。
それに人が営みを続けていけば急にお金が必要になる人や、逆に臨時収入を得る人も当然います。
すると船が帰ってくる前にその証券を売りたくなる人や、買いたくなる人が現れても不思議ではありません。
こうして需給が出合い、売買が行われるようになります。
すると、その証券はいろいろな噂で価格が変動するようになってきます。
やれ嵐に遭ったという噂が流れれば暴落し、航海が順調らしいと言う話が出れば暴騰します。相場の誕生です。
そうなると次はこんな山師が登場します。
「価格が変動するなら、安い時に買って、高い時に売ればいいんじゃん?」価格変動に着目して一攫千金を企む山師です。(いつの時代も山師はいますね~)
この山師のアイデアは大当たりで、ごっそり買い占めたら需給が締まって株は暴騰し、この山師は大もうけしました。
しかし、たっぷり儲けてイグジットに成功した山師には新たな悩みが発生します。
「もう買うもんがねぇー!!ヽ(`Д´)ノ」相場が加熱しきって高止まりすると、手元にある現金を今までのような高利回りで運用できなくなります。
そこで山師はまたまた考えます。
「安い時に買って高い時に売るだけじゃ上がる時しか儲けらんねぇよな!下がった時にも儲かる手段が欲しいよな!」と。
そこで、そういうニーズに応えるべくまた次のような手段が開発されます。
まず、株券を既存の株主から借りてきます。ただし借りた株券は期限付きで返す約束で借ります。
貸した人は通常の現金の貸付のように毎日金利を受け取ります。
借りた人は金利を払う代わりに自由にその株の売買を行えます。
すると、借りた人はまず市場で借りた株を売り、株が安くなったら買戻して株券を返せば、下がった時でも儲けることができます。つまり「ショート(空売り)」です。
こうして、ますます多彩な投資戦略が可能になり、毎日活発に取引が行われるようになりました。
この後も相場は新たなニーズが生まれる度にそれに応えて進化を続け、現在ではインデックス売買、先物、オプション等のさまざまな派生商品が誕生しました。
・・・というのが株の誕生から400年のダイジェストですが、ここでふと初心に帰ってみる・・・。
株式会社は当初みんなにとってハッピーな「希望溢れる未来を高速に実現するのに最適な仕組み」だった。
これはわかる。
しかしニーズに繰り返し応えた結果に誕生した、このショート等の仕組みの意義は何なんだ?
考えても考えてもわかりません。
ショートで儲けるには、売った株が下がらなくてはなりません。つまり
・人の失敗を望み
・世の中を良くしようと努力する人の足を引っ張り
・いつもどうやって他人を陥れようかということばかり考えている
と言う、まるでヤフー掲示板状態(笑)
そして実際に下がると大得意になって買い方を罵倒しまくる。
・・・何か、性格わる~(@_@)。
そりゃあ、これで儲かってもイマイチ嬉しくないわけだ。
一方、損した時はどうか。
ショートの損とは「担がれる(=踏まれる)」ことですが、これはたまりません(>_<)。
だって、地道に努力し続ける人に対して「失敗しろ!失敗しろ!」と妬むように呪い続けてたら、その人は努力が実って成功した上に、なぜが自分のお金まで取られるんですから!
まるで自分は社会にまったく必要無いゴミ人間みたいな気がして激しく自分にムカつくのだ。
このロング(買い)とショート(売り)での、売買結果の気分をまとめるとこんな感じです。
ロングで儲け>>>>>>ショートで儲け>ロングで損>>>>ショートで損
これじゃ、ショートは止めたくなるのは必然。
��勝っても負けてもいい気分になれないんじゃ、ちょっとね)
最初は意義深かったのに、一体どの辺から、おかしくなってしまったんだろう。
「需給が出合って売買が行われるようになった」
あたりまでは意義があるような気がするので、その後かなぁ。
やっぱ、同じ儲けるなら、キレイに儲けたいですね。
儲けるのにキレイも汚いもそんなの相場には関係ねぇ!とか、そんなこといちいち考えてないし~、と私も昔は思っていたのですが、仮にそうドライになりきったとしても、汚い儲け方はなぜか「継続性」に欠ける傾向があるのです。(つまりそういう手法は賞味期限が短いと言うことっスね。ライブドアの分割マジックとかね)。
P.S.
ところで、東インド会社の話の後半は説明用に作ったフィクションですのであしからず。。。
ついでですが、ここまで単純だと船が帰ってくる前に売ったり買ったりするのは、その人達同士でのゼロサムゲームだというのが直感的に分ると思います。プラスサムになる可能性があるのは船が帰ってくるまで待ってた人だけです(←最も、船が帰ってこなければマイナスサムですが)
さらに、船が帰ってくるまで絶対売らない!と腹をくくってる人は、途中で価格が幾らになろうが、まったく関係ないのもお分かり頂けると思います。
あと為替とか商品のロングとショートは上記とは意味合いが違うと思います。
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