仙台 名残の日々 waled b Book Review 14 6月 2014 3年間の仙台勤務を終えて東京に戻ることになった。 12日に最後の番組を完成させて、 (20日放送「東北Z・原発事故が奪ったものは」) きのう今日でアパートの荷物を片付けた。 単身赴任とはいっても、 3年も暮らせばそれなりに荷物があるものだ。 その慌しいなか、 後輩の女性ディレク... Read more
「福島に住んではいけない」のか? waled b Book Review 18 5月 2014 ぼくは福島県の桑折町(こおりまち)を取材していた。 桑折町は福島県北西部に開けた農村地帯、 桃や林檎など果実の栽培が盛んな美しい郷だ。 原発事故の前は、 この町で採れた桃を 毎年天皇家に献上していたというのが自慢である。 いま桑折町では除染が始まっていて、 果樹園と境を接して仮置... Read more
山岡士郎はなぜ鼻血を出したのか waled b Book Review 06 5月 2014 次回作の取材のため、一ヶ月余り全国をまわっていた。 福島原発事故から4年目を迎えて、 被災者がいまどういう思いでどんな生活を送っているのか、 あらためて知りたいと考えたのである。 双葉町の自宅に半永久的に戻れなくなった人から 被ばくを避けようとして沖縄に避難した人まで、 生活も放... Read more
萩野靖乃さんの「テレビもわたしも若かった」 waled b Book Review 18 7月 2013 去年亡くなった大先輩のディレクター、 萩野靖乃さんの遺稿集 「テレビもわたしも若かった」(武蔵野書房)を読んだ。 萩野さんの個人史のかたちを借りた TVドキュメンタリー史とも言えるもので、 テレビ論としても示唆に富んだ、実に面白い本だった。 この本の中核をなすのは 萩野さんが生前... Read more
TVドキュメンタリー“冬の時代”に waled b Book Review 21 2月 2012 札幌から函館に向かう列車のなかで 出版されたばかりの「ホットスポット」(講談社)を読んでいる。 芸術作品賞など各賞を総ナメにした 「ネットワークでつくる放射能汚染地図」の制作過程、 そして、取材を通して浮かび上がった 放射能汚染の深刻な現実を生々しく記録したものである。 放送に至... Read more
「宿命」 waled b Book Review 02 6月 2011 吉村昭の「三陸海岸大津波」(文春文庫)を読んでいる。 いまから41年前の1970年に書かれた本だ。 データを中心に淡々とした筆致で描いたルポルタージュで、 物語性は敢えて排したと思われるが、これが実に怖い。 明治29年(1896)の大津波、 昭和8年(1933)年の大津波のことは... Read more
快作「フランキー・マシーンの冬」 waled b Book Review 15 1月 2011 ドン・ウィンズロウ「フランキー・マシーンの冬」(角川文庫)を読み了えた。 読み出したら止まらない、思わず快哉を絶叫するような傑作である。 ウィンズロウの作品はまだ「犬の力」とこれしか読んでいないのだが、 この二作で、ディーヴァーやハイアセンというご機嫌な面々をぶっちぎり、 ぼくの... Read more
選ばれざる者の「ガラスの巨塔」 waled b Book Review 12 3月 2010 「プロジェクトX」のプロデューサーだった今井彰が書いた「ガラスの巨塔」(幻冬舎)を読み了えた。 「ガラスの巨塔」とは、いうまでもなく、ガラス張りのNHK放送センターのことである。 帯の惹句が如何にもスキャンダラスであり、 読む前は、古巣のNHKに後ろ足で砂をかける、低次元の暴露本... Read more
釧路の夜に「人間サイズの報道」を考えてみる。 waled b Book Review 14 2月 2010 釧路での休暇の最後の一日。 夕方、 ちょっと買物とインターネットに出たくらいで、 (ネットは全日空ホテルのFLETS-SPOTを拝借) 一日の大半を我が家で過ごす。 夜は志ん生の絶品「お直し」を聴く。 昭和38年の東宝名人会での録音で、 ぼくが聴いた限り、 「お直し」はこれがベス... Read more
坂上遼「消えた警官」 waled b Book Review 02 2月 2010 坂上遼の菅生事件に関するドキュメント「消えた警官」を読み了える。 あとがきを読んで気がついたのだが、著者はどうやらぼくの会社の先輩である。 年齢は四歳しか違わないが、著者は記者で、ぼくはディレクターだということもあって面識はない。 先輩だから誉めるワケではないが、これはなかなか読... Read more
凄まじいばかりの傑作!…ドン・ウィンズロウ「犬の力」 waled b Book Review 04 1月 2010 寝正月を決め込んで、起きている時間の大半を読書に費やす。 年末に読み始めたドン・ウィンズロウ「犬の力」(角川文庫・上下二巻)を読み了える。 興奮がまだ醒めやらない。 これほど面白い小説を近ごろ読んだ記憶がない。 物語は1975年に始まり2004年に終わる。 アメリカ大陸の麻薬利権... Read more
ディーヴァーの最高傑作「ソウル・コレクター」 waled b Book Review 24 12月 2009 番組のオンエアが終わって、 きのうが祝日だったこともあり、 ちょっとエアポケットに落ち込んだような脱力感のなかにいる。 きのうはPhotoshopで年賀状の原稿を書いてヨドバシカメラに発注、 (28日の仕上がり…ここ何年ものあいだ元旦に届くスケジュールで年賀状を出したことがない)... Read more
いまさらながら…ジェフリー・ディーヴァーは面白い。 waled b Book Review 07 8月 2009 旭川からの帰りの飛行機の中でジェフリー・ディーヴァーの「石の猿」(文春文庫)を読み了えた。 最近、ぼくはディーヴァー、とりわけ「リンカーン・ライム」のシリーズにハマっている。 出張に文庫本を携えて行き、 「ボーン・コレクター」「魔術師」「コフィン・ダンサー」、そして「石の猿」と読... Read more
本田靖春「誘拐」「不当逮捕」 waled b Book Review 24 6月 2009 本田靖春さんの「誘拐」('77) 「不当逮捕」('83…ともに講談社文庫)を相次いで読み了えた。 「誘拐」を読み始めたのは、 映画「一万三千人の容疑者」を観たことから 「吉展ちゃん事件」を改めて知りたくなっなったからであり、 「不当逮捕」は、 「誘拐」をAmazo... Read more
極北クレイマー waled b Book Review 05 5月 2009 海堂尊さんの新作「極北クレイマー」(朝日新聞出版)を読み終えた。 舞台になっている架空の町「北海道極北市」は明らかに夕張市がモデルとなっており、 主人公である今中医師が極北市民病院に赴任する開巻の描写… 駅やホテル、スキー場の配置などが全く夕張そのままなので笑ってしまう。 大赤字... Read more