規模が大きくなると大抵のものは「安定」してきます。
例えば小さな船や飛行機はよく揺れるけど豪華客船(←乗ったことないけど)やジャンボ機はちょっとやそっとでは揺れないし、逆に小回りは効かず、方向転換もなかなかできません。
企業にしてもベンチャーの場合は急に利益が倍になったかと思えば翌年は赤字になったりしますが、トヨタくらいの巨大戦艦になるとあのサブプライム後でさえ1兆6000億円の利益を予定しているほどです。
いち企業程度の組織でさえそうですから、さらにその上の大きな単位である国家くらいになると、一度ついたトレンドはそうたやすくは曲がりません。
ですから経済発展のトレンドが現れた国は今後10年~20年と発展が継続する可能性が高いです。
中国はその方向に向かっている国のひとつであると思います。
ところで経済が発展していく国の通貨は高くなっていきます。
だから中国の人民元(RMB)建ての債券に投資しておけば利回りx通貨高で予想外の高リターンが期待できそうです。
でも人民元建ての債券を個人で買えるという話は聞いたこと無いし、またもし買えたとしても持ち出し規制があるので入れたが最後、簡単に戻せなくなって困ってしまいます。
さて話はちょっと変わりますが中国株にも外需企業と内需企業があります。
外需企業の場合は売り上げのうちドル建てが多いと人民元高でマイナスの影響を受けますが、内需企業は人民元での売り上げがメインであるはずだから直接的にはそれほど影響を受けません。
ということは香港市場で株を買う場合はHKD(香港ドル)で買うけど、内需企業の場合はHKDは米ドルペッグなので米ドルが弱くなったらその分HKDペースの株価は高くなる圧力を受けることになります。
どうしてか具体的に考えてみると、例えば株価が10HKDで利益が1億RMB(人民元)の会社があったとします。
このとき1米ドル=8RMBから1米ドル=4RMBになり、この会社の利益が変わらなかったなら、この会社の利益を米ドルベースで換算したら1250万米ドルから2500万米ドルとなり、米ドルペッグのHKDベースの香港市場の株価は20HKDにならなくてはいけません。
しかし短期的にはドル安で資産の目減りをきらった投機資金がドルに連動する資産以外の投資対象へ逃避することもあり、HKDベースの香港株も売られて株価はむしろ下がる傾向があるのですが、そんなときは本当は株価の下落xドル安で2重にお買い得度がアップしていることになりますので、その下落は長くは続かないと思います。
実際は経済が複雑系の面を持つため、そういった為替レートの変動影響をまったく受けない企業というのは存在しないにしても、内需企業は受ける影響が軽微ですむか、または米ドル安が原価低減につながり逆にプラスに働く企業も多いはずです。
つまり中国株の中でも人民元で収入を得てそのキャッシュフローが固い企業があれば、債券に近い感覚で買えることになります。
そういう目で中国株を見てみると、いわゆるディフェンシブ銘柄である電気・ガス・水道・食品などのセクターが思いつきます。ディフェンシブ銘柄のキャッシュフローの固さは万国共通です。
その他には中国では高速道路会社が最初から民間企業として上場していますが、高速道路もそういう部類の株に入ると思います。
Q先生も5、6年前に高速道路はどうですか、と盛んに推薦されていたらしいけど、それから株価も数倍になったし、もう道路は車でいっぱいになってしまってこれ以上は通行料の値上げくらいしか成長余地がないということで、高速道路は終わったと仰っていましたが上記のように債券的なつもりで持つならまだ有りだと思います。
ポートフォリオ理論でも、リスクの低いものと高いものを混ぜるのが一番リスクあたりのリターンが高くなると言うことになってますし、ポートフォリオの重しとしてはいいんじゃないでしょうか。
そのなかで自分は00576ジャージャンエクスプレスという高速道路運営会社が気に入っています。この会社は直近で配当利回りが5%以上あってPERも10倍くらいです。来期の業績は今年はじめの大雪被害や杭州湾海上大橋の開通もあって一息つきそうですが、過去数年間も安定して利益と配当を増やしており、継続的に株主に利益を還元しようとする気持ちも感じます。
リスクとしては並走する競合道路の開通とか、大株主がお上なので通行料金の設定や、もろもろの無理難題を押し付けられるというガバナンスのリスクがあります。
とはいってもNYでADRも上場しているのでそんな無茶はしてこないかと思いますが、実際2、3年前にまったく畑違いで破綻寸前の金信証券の買収を当局から押し付けられ、異業種の赤字企業の買収ということで株価が暴落したことがありました。
ところがそのお荷物だった金信証券、買収した途端に去年の本土の中国株ブームで儲かりまくって、黒字すぎてまいっちんぐという状態になって(笑)。最近では分離上場させようかという話も出てきてしまいました。
事業にはこういう幸運の女神に好かれているかという点も無視できない点だったりします。
そんな絶好調の証券事業ですが会社側は「証券事業は好調だが、利益のうちこの事業の占める割合が多くなると業績の不安定につながるので 慎重に行う」などと言っており、それがまたまた私のこの会社に対するWACC低減に一役かって、自分の持ち株数が増えることになってしまいます。
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