ここ数日間というもの、高金利通貨が暴落しましたが、それについて為替王ブログに「ドルキャリートレードの巻き戻し」が原因という興味深い記事が。
要約すると、サブプライム以降のドル金利低下のせいでドルを売って高金利通貨を買っていたリスクマネーが、直近の本国の金融危機の損失を手当てするために、いやおうなしにドルに戻ったという話。
なるほど、それならオセアニア通貨を代表とする高金利通貨だけ大暴落した割には、低金利で買われてなかったドル円はそんなに動かなかったという現象は説明が付く。これは納得の説だ。
なるほどねー、と思ったけど同時に
「でもそんなの起こる前には知らんがな!(;´Д`)」
という思いも。。。
こういう裏事情を聞くと為替は本当に難しいな、と思います。
例えば、今回豪ドルの金利が下がってきた中で豪ドル暴落が起きましたが、本来は金利が下がった通貨には上昇圧力がかかるはずです。
なぜそうなるか、少し極端な例を想定して考えてみます。
例えば金利以外の条件がまったく同じA国、B国があるとして、それぞれの通貨がAドル、Bドルだとする。
もし、ある時点でのレートが100Aドル=100Bドルで、
金利がA国=100%、B国=0%だったとした時に1年後にどうなるか。
100Aドル保持者は利子がつき200Aドルになっています。
それに対して100Bドル保持者は100Bドルのまま。
これで為替レートが1年後も100Aドル=100Bドルのままだと、Aドル保持者は200BドルをGET出来てしまう。
それなら誰だって有り金を全部Aドルで持っていれば儲かることになりますけど、投資の世界にはこんなヌルイ話は当たり前ですが存在しません。
これにはしっかり裁定が入り、この条件下では1年後にレートが100Aドル=50Bドルとなります。つまりBドル高(金利の低い方の通貨高)が起こります。
こうなるとAドルで利子がついて200Aドルに増やした人も、1年後にGETできるBドルは1年前と同じ100Bドルとなって、損得なしになり、めでたしめでたしです。
こういう力がレート変動の根底には確かに働いているのだけれど、実際のレート変動には当該国、相手国の金利以外の条件がまったく同じなんてことはあり得ず、無数のレート変動因数が複雑に影響しあうので、この金利の影響は全く見えなくなる。
しかし、FXの口座の方は毎日スワップが積みあがっていくのがよく見えるので、それを見てたらあたかも儲かっているような錯覚を感じてしまうのは無理の無いことだと思います。
このように、金利に関しては、下がった方が為替レート的には上がるはずなのですが、実際に起きたのはまったく逆の大暴落。
つまり、金利の理論よりも、誰かがカネに困って売った、とか、人が売ったから売った、とかの影響のほうが断然大きかった、ということだと思います。
そもそも、為替は取引量の9割近くが投機ポジションらしいので、ファンダメンタルによる値動きよりも、どこかの誰かのポジション具合での変動の割合が大きい。
さらにその「どこかの誰か」でさえ、株の場合は参加者のほぼ全員が儲けようと考えてるのと違い、為替の場合はまったく別の動機で売買しているプレイヤーが混じっていることが予想をさらに難しくする。
たとえば貿易決済用の企業の為替取引や旅行者の両替行為は、ファンダメンタル、テクニカルとは無縁の取引を行います。
そしてそのような取引による一瞬のレートのゆがみが、時として投機筋の仕掛けによって増幅し、説明の付かない値動きに発展することも考えられる。
実際、この前自分で海外送金してみて分かったのですが、送金はドルでないと物凄くやりにくく、それで自分はドルなんかちっとも買いたくないのに、マネパで何万ドルも実際に買いました。本当に仕方なしに。
そういうプレイヤーの取引は、FXで儲けようとしているトレーダーの思惑外の行為であるはず。
例えば激悪の米雇用統計が出て、喜んで売ってたら大量のドル買いする奴が登場して反転!とかが起きたら、何でココで買うか!?空気嫁!( ゚Д゚)って思うはず。
したがって自分はある時から、FXをやる時はウンウンいってファンダメンタルを考えるよりも、上がってるものは買って下がってるものは売るようになりました(テクニカル投機)。しかし、そういう取引なら何もFXでなくても商品でも株の信用でもまったく同じなので、どうしようかな、と思っている間に結局あまりやらなくなってしまいました。
そんな難しさがあるので、FXで着実に利益を積み上げた3億円脱税おばさんとか、本当に凄いと思います。
でも外国株をやる以上、為替の基本は知っておいて損はないので、自分もやっておいてよかったなぁとは思っています。
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