新株でお集めたお金で事業拡大が見込め、そしてその新株の発行価格が十分に高ければ、一般に増資も悪くないと前回書きました。
しかし中国株での増資の場合は少し特殊な事情があるのです。
中国株では株主割当増資、つまり株持っている人はみな平等に権利をあげますよ、という増資が多いのですが、これだと株主全員に平等に権利があるので、確実に増資を成功させるため、企業は気兼ねなくかなりのディスカウント価格で増資する場合が多いようです。
従って株価の方は権利確定日に権利落ちが発生します。
ところが、日本国内の中国株投資家は、法律でこの増資の権利をもらえないのです(本来平等に権利があるはずなのに!)
となると、日本国内の中国株投資家は権利落ちまでに売る以外に残されたアクションがないのです。
ちょっと分かりにくいので、どういうことが起きるのか具体的に考えてみます。
例えば、下のような株主割当増資が発表されたとします。
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・現在の市場価格は1株1HKD
・1:1で割り当て
・割り当て価格50セント
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権利確定日まで株を持っていた人は、50セント払えば持ち株が2株になります。
ここでもし株価が1HKDのままだったら、株が増えた時に即売りすれば0.5HKD儲かってしまいますが、そんなヌルイ話が投資の世界にあるはずも無く、当然、権利落ちが発生し、この場合は株価は0.75HKDになります。
すると増資に応募した人の持ち高は、2株×0.75HKD=1.5HKDとなり損得なしです。このように権利落ち日には価格調整が起きます。
ところが、日本の投資家は権利がもらえないので、株価の価格調整だけを食らってしまうことになります。言い換えれば配当がもらえないのに、配当落ち日まで株を所有するようなものです。
だから日本国内の中国株投資家は権利確定日までに売るしかないのです。
ところで、これがもしQ先生や戸松さんのような、日本国内の中国株投資家に絶大な支持を受けている人が推奨した小型株に起きたらどうなるでしょうか。
おそらく大暴落するでしょう。
なぜなら、そのような銘柄は株主の日本人比率が高くなっていることが予想され、その人たちのやむを得ない売りを吸収する流動性が無いためです。
だから、日本国内から中国の個別株を買うときは、なるべく日本人が持っていないような株か、そもそもそういうやり方の増資をしないような大型株を選ぶほうが無難です。
P.S.
この株主割当増資にも2種類あって、増資を受ける権利(ライツ)を売れる増資もあります。この場合は、日本人でもセーフです。先日のHSBCの株主割当増資はこのタイプでした。
そうでなくて、付与された権利がオープン・オファー及びプレファレンシャル・オファーだったら、残念ながらハズレ増資です。
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