最近、新幹線が関ヶ原〜米原あたりの雪で遅れがちなので、空路で伊丹に飛んだ。
途中、富士山の秀麗な姿が間近にくっきりと見えた。
料金は特割Cで13100円、空港までのアクセスを計算に入れなければ新幹線より安い。
今週も金曜日まで大阪に滞在し、ロケを続けることになる。
とても嬉しいことがあった。
昨年2月に放送したETV特集「あるダムの履歴書」が、
優れた報道を勝手に誉めてしまおうという北海道の市民グループ、
「メディア・アンビシャス」の映像部門大賞に選出されたのである。
このグループについては一昨年の暮れに二度にわたって書いた。
視聴者、それも番組の「質」を意識して見ている人たちから高く評価されるのは、
作り手冥利に尽きることで、他のどんな賞をもらうより嬉しい。
ブログで書いたように、
ぼくは去年(2009年)の第一回に
夕張での医療再生の取り組みを描いた「夕張 年老いた町で」で準大賞をいただいた。
その表彰式の席上、
「来年は『あるダムの履歴書』で大賞を狙います」と大言壮語していたので、
もし鼻も引っかけられず選外に落ちたら恥ずかしいなと、
柄にもなくちょっとドキドキしていたのである。
去年と同じ準大賞(今年はネーミングが変わったようだ)でも充分だったのだが、
大賞をいただくことになって内心恐縮し、同時にめちゃくちゃ嬉しかった。
ちなみに去年の大賞はやはりETV特集の「死刑囚・永山則夫」で、
視聴率も上がらず、制作予算も少ない「日のあたらない番組」のETV特集が、
心ある視聴者たちに高く評価されているのは作り手にとってこの上ない支えである。
「あるダムの履歴書」はアイヌの里に建設されたダムの物語で、
ぼくが北海道在勤時代から20年にわたって撮り溜めてきたものの集大成だ。
云ってみればライフワークのひとつだから、嬉しさもひとしおである。
なんでもやり始めると夢中になる性質のぼくは
幼いころ親父によく「虚仮の一念」だとからかわれたものだが、
人並み外れた才に恵まれたわけでもないぼくにとって、
職業人として生きることはまさに「虚仮の一念」を貫くことに他ならなかった。
派手な脚光を浴びない分野に倦まず穴を掘り続けてきたことが
こういうかたちで評価されたことは、
「生涯一ディレクター」のぼくが30年のキャリアで得た最大の勲章だろうと思う。
コメント
コメントを投稿