夫婦というのは
いったい何の因果で一緒になるのだろう?
ぼくと妻は歳も違えば、生まれ育った国も違う。
そして、価値観も全くといっていいほど違っている。
それがなぜ、一緒に暮らすはめになってしまったのか?
高度経済成長に湧く国で育った妻は上昇志向が強い。
それに対してぼくは、
ドロップアウトとまで云わないまでも、
出世や金への執着が希薄で
ややもすれば俗世を離れて隠遁したがる。
妻は根っからの都会っ子で、
ぼくは田舎町に生まれ、田舎が好きだ。
妻は買い物が好きで、ぼくはアウトドアを好む。
二人とも旅行が好きなのは一致しているが、
妻にとって旅とはまず「お土産を買う」ことであり、
ぼくにとっては
カメラ片手に見知らぬ街をほっつき歩くことだ。
名所旧跡にすら、実はあまり興味がない。
だから、妻は、
ぼくの旅のスタイルに付き合うと、
「いつまで歩くの?…疲れたよ」とやがて怒り始める。
ぼくが妻の買い物に付き合うと、疲れ果てて、閉口する。
そんな妻とぼくがただひとつ一致するのが、
「温泉が好き」だということである。
二人とも、泉質にこだわり、美味しい料理が好き。
ただ、それでも違うのは、
ぼくが鄙びた木造の温泉宿らしい旅館を好むのに対して、
妻は部屋がきれいで、ホスピタリティに富むホテルを好む。
きのうは遠刈田温泉の別邸山風木(やまぶき)に泊まった。
宿を予約したのはぼくだが、妻の好みに合わせたもの。
生憎の雨だったが、
日本庭園風の中庭の造りなどなかなか風情がある。
部屋はきれいで、
従業員のホスピタリティも何かと行き届いている。
妻の誕生日を含む11月は「奥様ご奉仕月間」だから、
ぼくとしてはひたすらお仕えするのみである。
とはいえ、
食事が旨く、酒を飲めれば、とりあえず文句はないw。
夕食は、ワインを合わせるか日本酒か、ちょっと迷う献立。
メイン料理が「仙台牛のステーキ」で、
その後は鮭といくらの「はらこ飯」だったりする。
趣向を凝らした料理が多いなかで、
ぼくは素朴な「肉じゃが」が大変気に入った。
これは「絶品」というべき味である。
風呂は源泉掛け流しで、
泉質はナトリウム−硫酸塩塩化物泉。
少しぬるめだが、体がよく温まる。
凝った造りの大浴場や露天風呂もあるが、
ぼくはこじんまりとした貸切風呂(写真)が気に入った。
よい温泉宿は、
贅を凝らした夕食以上に朝食が旨いものだが、
「山風木」の朝食は抜群で、胃腸を洗われる気がする。
ぼくの好みから云えばちょっと洒落すぎているが、
いい宿であるのは間違いない。
帰り際に、
宿の正面で記念写真を撮るサービスがあると云われた。
ぼくは即座に断ったのだが、
妻が撮ってほしいというので、結局、一緒に撮った。
こういうところも、やっぱり夫婦で違うものだ。
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