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PER30倍は割高ではありません。

いわゆる安定期に入った企業のPERは、大体15倍くらいになります。
なんでこうなるのかというと、投資家は株に年率7%くらいの利益を期待するからです。
すると、1÷7%=14.29となって、PERは大体15倍となるのです。

さらに、なんで投資家は株に7%を期待するのかと言うと、過去数十年の平均がそのくらいだからです。
従って株の割高・割安を考える場合、この15倍がベースになります。


さて、基本はこうなのですが実はここからが株の奥の深いところです。

例えばPER30倍の株があったとします。株の初心者はこれを割高と判断するかもしれません。しかしたいていの場合、これはフェアバリューなのです。基本PERは15倍なのに、30倍でフェアバリューとはなぜか?

実は、市場というものは通常、3年後の企業の姿に対して株価をつけるのです。例えば先のPER30倍の企業が年率25%で成長しているとすると、3年後の利益は1×1.25^3で1.95になります。
すると、1.95÷7%≒28となって、適正PERは28倍となり「このくらいの値段でいいじゃない」となるのです。

ところがここで、この企業が四半期決算を発表し「来期の増益率は15%になりそうだ」とアナウンスしたらどうなるでしょう?
株の初心者でありがちな間違いは「今回も増益だ。順調に成長してるな。安心した!」と思ってしまうことです。

この場合、決算を聞いてプロは「えっ!?」と思い、株は暴落します。何故なら25%成長を前提とした株価だったのに、急に15%になったら3年後の利益は1×1.15^3で1.52になります。すると適正なPERは1.52÷7%≒21倍となり、3割は暴落してもらわないと釣り合わないからです。


さて、話はここで終わりません。さらに株の奥深さは続きます。

ここまでは「市場というものは通常3年後の企業の姿に対して値付けする」という前提での話でしたが、実はこの「3年後」も変数なのです。

すなわち、市場がバブル化している時は5年後にも6年後にもなり、リーマンショックのようなことが起きると、1年後さえ信用できなくなるのです。

従って、リーマンショックのような時しか、低リスクで成長株を手に入れることは出来ません。
逆にいうと、 リーマンショックのような時は成長株をガッツリとお買い上げするべきです。これは短期的にはみるみる資産が減っていきますので、実際にやるとかなり怖いですが、絶対に正しいという信念で乗り切りましょう。

一方、いわゆる通常時にチャラい成長株を買うのはトレーディングとしては正解ですが、長期的な投資としては高リスクとなります。特にバブル時に高PERの株を買うことは非常に危険です。歴史に学べばそういう株で97%下落したものもあります。

というわけで私のウォッチ銘柄のうち、高PERのもの(テンセントやアリババ)は、嵐の時にガッツリ買いたいので、常にキャッシュポジを一定以上に保っています

「高いなら、死ぬまで待とう、成長株。」が私の投資のアイデアで、通常時には高PERの株には手を出さないようにしています。

ちなみに今は通常時です。

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