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今回はコーチを見ていきます。

企業概要


コーチ(Coach, Inc.)は女性・男性向けラグジュアリー企業です。
同社はハンドバッグとアクセサリーが主商品です。2014年の売上高では婦人物バンドバッグが55%、アクセサリーが同22%となっています。
現在の店舗数は北米532、日本200、中国161、その他アジア97、欧州31と広く国際展開をしています。

コーチでは昨年からブランド変革を打ち出し、アパレル、シューズを含めて提案できる「モダンラグジュアリー アクセサリー&ライフスタイル コレクション ブランド」への転換を図っています。

S&P500構成銘柄です。

評価結果


安定配当および安定業績を好む投資家視線で評価すれば、COH は良好な投資対象です。

財務分析


■PL

一株あたりの売上はこのところ暗雲が垂れ込めています。この要因としては、マイケル・コースやケイトスペードといった同業他社にシェアを奪われ続けていることが第1に挙げられます。
マイケル・コースの米ハンドバック市場でのシェアは2011・2012年の4.5%から7%に拡大する一方、コーチのシェアは19%から17.5%に縮小しています。
数年前の日本の携帯業界において、NTTドコモがソフトバンクと au の狩り場となっていましたが、それに似たような状況となっているようです。

第2にドル高の影響が挙げられます。コーチは国際的な企業なのでドル高は売上減少要因です。為替を除外すると直近では中国における売上高は+10%、日本は-11%となっています。日本の落ち込みは消費税増税の影響です。

第3に特売セールを絞ったことで、既存店も百貨店も売上を落としました。


営業利益率は単年度で見れば優秀な数字です。しかしながら、このところ減少傾向ですから市場関係者から見れば印象は悪いでしょう。
一株あたりの営業利益・一株利益も減少しました。

増配余力は全く問題ありません。今後低迷が数年間続いても、減配される可能性は低そうです。自社株買いも多少は行われているようです。

■BS

負債比率を見ると無借金経営に近い強固な財務基盤であることが分かります。調子が悪いとは言っても儲かっているので総資産自体も伸びています。BSにおいては全く非の打ち所がないと思います。同セクターのマイケル・コース(KORS)、ティファニー(TIF)と比較しても安定度、数値どちらも優秀です。

■CF

キャッシュフローはまあまあな動きとなっています。ちょっと営業CFの減少が目立ちますが、ここは今後注視したい点です。

株価と関連指標





直近4年の PER 履歴 22.11 → 13.97 → 14.72 → 12.46 →(現在 22.28


株価は直近5年でダウを大きくアンダーパフォームしています。調子が悪くなった2012年後半からダダ下がりです。経営指標は良くても先行き予想が悪いと、ここまで叩き売られるのは米株ならではですね。

同セクター比較では5年騰落率で KORS、TIF はともにダウに勝っていますが、COH はボロ負けです。
なお直近1年に限れば、同じく調子に変調が見られる KORS が一番下落しています。

総評


COH はここのところイイトコ無しですが、考えようによってはこういう「ちょっと買いたくないなぁ」という時期が、後から見て絶好の仕込み所になることが多いのです。そう言えるのも、株価は先行きを不安視して安くなっているのと、経営指標は相変わらず立派な数字を維持しているからです。

バフェットがアメックスを買ったのも、アメックスに巨額債務が発生しそうになって、市場が先行き不安視していた時期でした。

もし今後、業績が回復傾向になることが確認されれば大きなキャピタルゲインを得られるでしょう。
逆に目論見が外れて業績低迷が長引いても配当余力の大きさや強力な財務基盤を見ると、ただでさえ現時点で3.60%という高配当利回りが今後また上がる可能性は高いです。

さらに長いことコーチから売り上げを奪ってきたマイケル・コースですが、最近では成長に急ブレーキがかかっています。マイケル・コースは売上も33億ドルと相当な規模に達してきており、このへんが天井じゃないでしょうか。
コーチもティファニーも売上は40億ドルくらいですし PRADA は35億ユーロ、ルイ・ヴィトンもシャネルも20億ユーロ近辺です。
この辺がラグジュアリー企業の居心地のいい場所なんでしょう。世界にいる金持ちは有限なのです。

またコーチの売上低下の1要因のセール自粛ですが、これは長期的にはブランド価値の維持向上につながると思います。
ぽっと出のブランドがこれをやればそのままそのブランドは無かったことに成りかねませんが、コーチには70年という歴史があります。
この戦略が吉と出て、マイケル・コースより1段ハイブランドの認知を得られる可能性があります。(マイケル・コースは微妙に安いプライシングの商品が多いので)


総合すると、COH は投資対象としては「不安はあるものの良好」で、勇気をもって大量に買ってもいいと思いますが、それが怖ければ少しだけでもポートフォリオに混ぜておきたい銘柄です。



<参考>
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/opinion/global_investing/global_20130701.html
http://markethack.net/archives/51963932.html
http://matome.naver.jp/odai/2140324693642245001



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