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もう少しだけベーシックインカム 〜労働と賃金についてちょっと考える〜



前回ベーシックインカムの紹介をしました。
オランダのユトレヒトで実験的に実施される制度で、条件に関係なく生活に必要最低限な金額を給付しようというものです。(前回のブログ
BIは、ものすごく良い制度だと思っていますが実際行うとなると問題もたくさんありそうです。良い面や悪い面について、いつも通りサクッといきましょう。


財源はどうなるか
ユトレヒトで行われる実験は対象者が約300人です。しかし国や都市レベルで行うとなると、財源はどうなるのでしょうか。日本で適用した場合について見てみましょう。
具体的に政策として進んでいる訳ではないので、いくつか見つけた案を紹介します。

年金、生活保護、雇用保険等をベーシックインカムに置き換える
これは社会保障をベーシックインカムに置き換えることで増税しないようにするという考えです。もしこの方法を日本に適用すると、約4万〜5万円支給できる計算になります。
しかしこの程度の金額だと生活はできません。高齢者やワーキングプアの人達に対して大きな効果はないかもしれません。またほぼ収入がない人だと4万円で一ヶ月生活するのは不可能でしょう。

相続税を100%にする
この考えは思い切った考えですね。相続税を100%にして、全員に再分配しましょう。ということです。思い切った案なだけあって否定的な意見も多く出そうです。これだと約7万円の支給ができる計算になるとのこと。ただ上手く税金から逃れられたら意味がありません。また100%税金になるのなら、生きている間に使ってしまうという考えになりそうです。そうすると財源確保を難しそうです。

所得税を上げる
所得税を約45%にすると、約8万円支給できる。という考えもありました。この方法は所得が多い人に負担を大きくして、所得が低い人に分配する方法です。ただこの方法は、完全に働かないで家族をもつ人が勝ち組のようになってしまいますね。

財源の確保については、かなり議論を進めないといけないようです。合わせて最低限の生活に必要な金額というのも実際どれくらいなのか、ということも考えないといけないですね。

カナダでの政策、Mincome
実はベーシックインカムは過去に実施された例があるのです。1974年から1979年にカナダのマニトバ州ドーフィンという場所でMincomeというベーシックインカムが試験的に導入されました。この間は病院への患者数が減少したり、高校卒業率が上昇したり、貧困問題が薄らいでいったようです。しかし後に景気低迷により財源確保が困難になったため、この制度は廃止されました。
5年間だけなのでデータとしては不十分かもしれませんが、効果はあったようです。
しかし長期間の財源確保はやはり難しいみたいですね。

パートタイマーが多いオランダ
オランダは労働者の約半分がパートタイマーです。(HUFFPOSTの記事
これには歴史や文化などが濃く影響しているようで、パートとフルタイムワーカーの地位を同等にしようと国としても政策を行っているからのようです。
2000年には男女問わず、パートタイムへ変更することを要求する権利も与えられています。
ベーシックインカムが実験的とはいえ導入するのも、オランダのそういった背景があるからかもしれません。
フルタイムの労働者にも利がある(最低でも損がない、かなり少ない)状態でないと日本では、なかなか受け入れられないかもしれません。

ベーシックインカムが与える良い影響
BIは貧困問題を解決するためだけではないです。そこから波及して良い効果が生まれる可能性が高いと思われます。
最低限の生活が保障されるので、よりチャレンジすることができます。失敗がしやすいので、起業もあまり恐れずすることができます。新たな技術やサービスが生まれやすくなります。
個人単位で給付されるので少子化対策にもなるかもしれません。
もし給付額が一律ならば、物価の安い地方に移る人が増えるかもしれません。そうなると、地方の活性化に繋がります。
また欲しい金額だけ働いて稼いで好きなことをする、という生き方もできますね。



ベーシックインカムについては賛否両論です。私は無理には働かないという選択肢ができることはいいことだと思っています。
以前、ロボットや人工知能について軽く紹介する記事を書きました。今後、これらの技術が進むと既存の仕事は人が働く場所が徐々に少なくなる可能性があります。(比較的高給なイメージの会計士が一番仕事を奪われやすいという話もあります。)そうなると新たな仕事を生み出していかないと、働けなくなってしまうかもしれません。そのために知識を得る時間をつくったり、新たなことに挑戦する余裕があるといいですね。
またロボット等に働いてもらうことで人間の余剰時間ができます。遊びや趣味をとことん熱中できるよう最低限の生活が保障されるのは幸福度が向上しそうです。


”かっこよく会社をスパッと去るのは派遣の専売特許です。” ハケンの品格第5話より


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