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大統領の反撃 証人は監獄シンガー


レイラ・デリマ上院議員
出典:ABS-CBN News

もうなんだか無茶苦茶な展開になってきた、フィリピンの政局。ドゥテルテ大統領の麻薬撲滅の常套手段「超法規殺人」。それを調査するために発足した司法・人権委員会。これは、永年のドゥテルテの政敵ともいうべき、前司法長官で現職の上院議員レイラ・デリマ氏が委員長を務め、大統領の犯罪を暴くべく、人権団体の後ろ盾で活動をしていました。

ところが、喚問された証人のエドガー・マトバトという人物が、どうにも胡散臭い。彼は、大統領がダバオ市長時代に指揮した「処刑団」の一員とされています。その証言内容が矛盾だらけで「30人で銃撃したが、被害者はまだ生きてた」とか「殺害はマクドナルドのホテルで行われた」とか...。(ハンバーガー店にホテル!?)

早速、フェイスブックには「30人がかりで撃たれて死なないって、そいつは戸愚呂弟か?」(フィリピンでも放送されている日本製アニメ「幽遊白書」の不死身のキャラクター)「次の証人は、マクドナルドのピエロか?」といった、加工した写真付きで嘲笑する投稿が溢れました。結局マトバトは「私は嘘をついていた」と告白。

そして事態は急転直下。大統領弾劾の急先鋒だったデリマ議員が、司法・人権委員会の委員長を解任されたかと思ったら、逆に司法長官時代の汚職を追求されることに。今度の証人は、はるかに大物で、刑務所に服役中の「麻薬王」こと、ハーバート・コランコ。この男が証言した日は、一日中テレビで喚問の様子が生放送され、私も家内と一緒に見てました。

タガログ語がほとんど分からない私。当初コランコは、司法側の証人かと思ってしまった。それほどカメラの前のコランコは、リラックスして弁舌も爽やか。時折笑みさえ浮かべる余裕。後で聞いた話では、罪状は麻薬取引に強盗、誘拐。正真正銘の犯罪者のくせに、獄中で自分の歌を録音し、その曲はフィリピンで大ヒット。専属のマネージャーまでいるそうです。YouTubeを探せば、プロモーションビデモまでアップされてる。そりゃ、カメラ慣れしてるはずだ。


刑務所内で収録されたとは思えない
プロモーションビデオ

以前から指摘されていた、モンテンルパ市にあるビリビッド刑務所の腐敗ぶり。ここでは、公然と麻薬が製造され、その金で所員を買収。重罪で服役しているはずの受刑者たちは、所内に建てられた高級ホテルのような「別荘」に住み、大理石の浴室を使い、外部からストリッパーを招き入れ、まるで王様のような暮らしをしていたそうです。コランコが自分の曲を録音したのも、その中に作られた私設スタジオ。

コランコの証言によると、この状況を黙認し、さらにその便宜まで図っていたのが、司法長官だったレイラ・デリマ。コランコの話は実に具体的で、賄賂の金額や、賄賂の授受に使われた連絡用携帯の番号まで明らかに。なんとテレビの生中継でその番号をバラしたもんだから、デリマ議員の携帯には、2000件ものいたずら電話やメッセージが。

ここまでいくと「まるで映画のような」どころか、ほとんどコメディ。外国人に過ぎない私には、いずれの証言が正しいのか、断定することはできませんが、フィリピン国民がどちらの言い分を信じるかは明白。一時劣勢かと思われたドゥテルテ大統領ですが、どうやら強烈な反撃で、形勢を逆転させたようです。


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