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日々の米を今日も与え給え

今日11月23日は、日本では勤労感謝の日。でも元々は「新嘗祭(にいなめさい)」という宮中祭祀の日。年に一度、天皇が神さまに五穀豊穣を感謝し、自らもその年収穫された米などの穀物を食するというもの。起源は飛鳥時代まで遡って現在も続き、千年以上もの歴史があります。

有史以来、お米とは深い関わりのある日本。そして日本だけでなく、東〜東南〜南アジアに米を主食とする文化圏が広がり、フィリピンも米食地域の一つ。

ひょっとするとフィリピン人は、日本人よりもお米大好きな国民かも知れません。以前にも「ライス・イーター」と題して投稿したように、僅かな量のおかずで、どっさりお米を食べる。だから中年以上の人だと、お腹ぽっこりで糖尿を患う人が多いのは、そのせいかと思うほど。

粘り気の強いジャポニカ米が主流の日本に対して、一般にフィリピンで作られているのは、比較的水気の少ないインディカ米。ジャポニカ米よりお腹にもたれることが少なく、その分つい食べ過ぎてしまう気がします。

毎週日曜日のカトリック教会でのミサ。その儀式の中心が、キリストの体を模した「パン」を頂く聖体拝領。ところが最も重要な祈り「主の祈り」のイロンゴ語(西ネグロスの方言)訳では、その一節「私たちの日毎の糧を今日もお与えください」の「糧」に相当する言葉として「米」が当てられています。

英語訳で「パン」Bread の部分が、イロンゴ語で炊いた米を意味する「カノン」Kan-on。米そのものだけでなく、食べ物一般を表す言葉として使われるそうで、やはりフィリピンでは食料の代表が米なんですね。漢字の「糧」も米へんだし、「ご飯」と書いて食事一般を意味することもあるので、感覚は共通しているのかも知れません。

ちなみに、炊く前の米粒は「ブガス 」Bugasu、稲穂だと「フマイ」Humai。英語では「ライス」しかないのに、状態によって名前が変わるところは、米・ご飯・稲穂などを使い分ける日本と似ています。タガログ語でも「カニン」Kanin、「ビガス」Bigas、「パライ」Palayと、単語は少し違うけれど、同様に呼び分ける。

しかし、食べ方は日本と違い、お箸は使わずもっぱらスプーンとフォーク。欧米式のナイフ・フォークではなくスプーンなのは、やっぱり米を食べやすくする配慮? これはフィリピンだけでなく、私が行ったことのある、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポールなどの東南アジア諸国では同じスタイル。中国でも山東省にある会社の食堂では、洗いやすさ優先のためか、お箸ではなくスプーン・フォークでした。

さて、タイトルにも使った「主の祈り」。ヨーロッパ系の言語だと、おそらく英語以外も「糧」は「パン」なんでしょうけど、フィリピン以外のアジア諸国とかアフリカでは、どんな訳語になっているんでしょう。調べてみたら面白いかも。


ほぼ全島サトウキビ畑のネグロスでは、
珍しい田園風景


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