今回はS氏ふうにご確認ください(^^;)
中国への投資
ほんの10数年前まで、日本の投資環境はそれはそれはお粗末なもので、世界への直接投資はおろか信用取引でさえ特権階級の投資家でなくては出来ないものでありました。しかし今現在の日本の投資環境は格段に向上し、国内にいながら様々な国への直接投資が可能になっております。それであれば、そのメリットを活かさない手はないといえましょう。なんせ日本はもう以前のような成長は見込めないのです。今の日本株(日本人による日本市場向けのビジネス)の中から投資先を探すのは、今の日本のどの政治家に投票するのかと同じようなものといえましょう。はっきり言って入れる先がないのです
では世界の中から成長性の高い国へ投資しようとしたら、やはり筆頭に上がるのは中国でありましょう。いろいろ嫌われている国であることは分かっておりますが、投資家たるもの、ひがみやヤッカミの類の情報は割り引いて中立的に考えられるようにならなくてはなりません。そう考えると、やはり注目すべきは中国の成長が今後も続くのかという点が最大の関心ごとでありましょう。
この点について、中国は米国を初めとする先進諸国への輸出によって成長してきたわけでありますから、サブプライム問題で先進諸国の経済的停滞が長期化することが避けられなくなった昨今、中国の成長もここで崩壊という意見が出てくるのはある意味当然ともいえましょう。しかしより深くデータを見ていくと、そうとも言えないのではないかと見ております。
なぜなら中国のGDPは現在約25兆元であり、そのうち消費は12兆元強の約50%、貿易収支はおよそ10%であります。残りは投資であります。ここで、よく言われているように、先進諸国への輸出が腰折れて貿易収支のGDP比率が半分の5%になったとしても一方で中国は4兆元にも及ぶ内需刺激策を発表しております。これは25兆元の16%にあたりますので、結局16%-5%=9%で今年も9%の成長が可能ということになります。こう紐解くと4兆という数字は適当に出てきた数字ではなく、綿密に練られた数字であるといえましょう。
さらに政府は足りなければいつでも追加対策をすると言っておりますし、良くも悪くも一党独裁であるということは、重要なことを決めるのに日本のように時間が掛からないということでもあります。国策に逆らってはいけないのです。従って、よく言われるような中国崩壊論はやや感情的な言い分であるように思えてなりません。
だからといって中国の将来がバラ色なのかというと、もちろんリスクも存在することは事実でありましょう。中国の労働人口は毎年1000万人近くも増えておりますので、この労働人口を吸収するには年8%程度の成長が必要不可欠であります。もしこの成長率を下回ることがあれば、それは街に失業者があふれ、国家の統制にも重大な影響が及ぶことでしょう。一方、逆に過熱しすぎても、ただでさえ激しい格差問題がさらに深刻になり、こちらも望むところでは無いと言えましょう
従って、今の中国は8%~10%程度という狭い範囲内で成長をコントロールし続けなくてはならないという、まるで両側が深い崖の曲がりくねった道を進む以外の選択肢しかないのであります。金持ち喧嘩せずといいますが、国民全体がそこそこの生活レベルである一人当たりのGDP20000ドル程度になるまでは、この細い道を足を踏み外さずに進まなくてはならないと言えましょう。その道を渡りきるまでに、法整備や国民のモラルが先進国並みまでに高まれば、それ以降はそれほどの高成長を維持する必要はなくなるでしょう。
日本への投資
さて、翻って日本はどうかと申しますと、日本のGDPにおける消費の比率は約60%となっており、貿易収支はたったの3%でありますので、貿易貿易と皆言っておりますが、実はたいした比率ではないのです。やはり日本においても消費が肝要なのであります。
その消費の先行きでありますが、消費の元となる資産を持っているのが高齢者に偏っており、若者の可処分所得は毎年下がってきております。しかも卑しくも経済大国を長年続けてきたものですから、国内にはモノがあふれている状態であります。国全体にモノが必要十分に充実していて、所得が下がっていく・・・。これでどうして消費が増えましょう。ですからたった3%の比率でしかない貿易収支が減っただけで、あっという間にマイナスに転落して大騒ぎしている有様であります。
以上のことを総合的考えますと、外資系が日本を素通りしてしまうのも理解できましょう。そして我々投資家も中立的に考えて投資先を選ばないといけません。我々投資家は嫌いだからといってチャンスを無にするわけにはいかないのですから・・・。
ホンモノ(S氏の相場観)はコチラ!→http://ssoubakan.blog102.fc2.com/
------------------------------------------------------------------
【FYI】
個人金融資産1,500兆円の世代別分布状況「日経ヴェリタス」(2008年6月15日発行)
世代 資産 人口 一人当たり資産
70歳以上 452兆円 1897万人 2382.7万円
60~69歳 494兆円 1577万人 3132.5万円
50~59歳 330兆円 1924万人 1715.2万円
40~49歳 172兆円 1568万人 1096.9万円
30~39歳 86兆円 1892万人 454.6万円
29歳以下 10兆円 3918万人 25.5万円
コメント
コメントを投稿