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温泉は「源泉かけ流し」に限る



連休の後半は、
妻と二人、栃木県の山奥の温泉で過ごした。

宿の予約をとったのは
たぶん今月の初めだったと思うが、
その時点で、
例えば秋田県の乳頭温泉郷など何処も満室だった。
遠出しようにも、
航空券は特割やマイレージが既に満席で、
高い料金を払ってまで出かける気にはならない。
そういう意味では、
栃木県の山奥というのは意外な穴場である。
東京から近い割には随分と鄙びていて、
みんなが連休は遠出しようと考えるためだろうか、
かえって空室を見つけやすい。

ぼくたちが訪れたのは、
鬼怒川・川治温泉郷のさらに奥で、
21日は太郎温泉という小さな宿に泊まった。
初老の夫婦二人で切り盛りしている宿で、
食事がおいしい。
翌日は入山沢(写真上)に沿って下り、
さらに会津鬼怒川線の中三依温泉駅あたりから
湯西川温泉駅まで男鹿川沿いに歩いた。
駅にすればひとつだが、
曲がりくねった国道は距離にして9キロ近い。
日ごろ歩き慣れているぼくはともかく、
妻がよく歩いたものだと思うが、
男鹿川の清流(写真中)には心を洗われる。
(来月末の紅葉の季節はとても綺麗だろう。)

湯西川温泉駅からバスで30分山に入ったところが
平家の落人部落と伝えられる湯西川温泉で、
ぼくたちが泊まった「平の高房」(写真下)は
そこからさらに奥の一軒宿なので、
宿の車にバスの終点まで迎えに来てもらった。
この宿、
連休のさなかに一人15000円台という宿泊料金で、
実にお得感がある。
(ハーブ豚のしゃぶしゃぶと
 青竹の筒に入れてよく冷やした
 地酒「天鷹」が一人に一本つくコース)
囲炉裏端での食事は、
ニジマスの串焼き、
郷土料理の「一升べら」など、旨くて量も充分。
「一升べら」とは、
ミンチにした山鳥の肉を山椒などの香料とともに練ってへらに塗り、炙って食べるもので、
一本で一升飲めるというのでこの名があるという(笑)。
追加料理で頼んだイワナの姿造りも美味しかった。

しかし、何より素晴らしいのは温泉そのもので、
この宿は、無料で入れる貸し切りの露天風呂を含め、すべての湯が「源泉かけ流し」なのである。
泉質は微かな硫黄臭を伴った単純アルカリ泉だが、
実に心地のよい湯で、ぼくはきのう3回、今朝さらに1回入浴した(妻も満喫したようだ)。
仕事がら旅をすることが多く、温泉が大好きなぼくは、全国各地の温泉に入ってきたが、
よくわかったのは同じ温泉地でも「源泉かけ流し」と「循環式」では湯が全く別物だということだ。
湯の鮮度が違う、といえばわかりやすいだろうか。
大きな温泉街、特に大きなホテルではほとんどが循環式だから、こうした一軒宿が狙い目である。

繰り返すが、栃木の山奥の温泉は穴場である。
めしが旨い(魚も川魚ばかりで、マグロの刺身など出なかったのがいい)、お湯も佳い。
13時5分新宿発の「特急きぬがわ」に乗れば、16時過ぎには、この山奥の一軒宿に入れるという便利さ!
妻とは、近いうちにまた来ようね、という話になった。
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