上海から妻の叔父夫婦が遊びに来ているので、
ちょうど関西に出張中でもあり、
日曜日を利用して観光ガイドを引き受けた。
京都と神戸を一日でまわろうという強行軍で、
そのうえ酷く暑かったので、
妻や叔父夫婦も疲れただろうが…ぼくも疲れた。
ぼくは年がら年じゅう旅をしている人間だが、
実は「観光」にはほとんど興味がない。
知らない街をほっつき歩くことはあっても、
いわゆる「観光地」には足を向けないのだ。
だからそもそも「観光ガイド」の適性はなく、
京都で訪ねるポイントは大学生の息子に一任した。
最初は清水寺(写真一枚目)で、
これならぼくもわかる。
京都市街を遠望するショットを撮りに
ロケで訪れたことがあるからだ。
ところが南禅寺(写真二枚目…南禅院)となると
もうワカラナイ。
行ったことがあるかどうかも記憶にない。
禅寺らしい落ち着いた佇まいはぼく好みで、
また、もっといい季節に訪れてみたいものだ。
銀閣寺(写真三枚目)にしてもそうだが、
実質的には真夏ともいうべき暑い日に、
汗をだらだら流しながら見るところではない。
酷暑の前に、詫びも寂も吹っ飛んでしまう。
桜の季節か紅葉、さもなければ雪の日がよかろう。
南禅寺から銀閣寺までは
「哲学の道」を歩くというもの。
「歩かなければ意味がない」とまで云ったらしい。
しかし、あまりの暑さに、
旅のスポンサーであるかみさんが歩くのを拒否。
後半はタクシーで移動することになった。
散歩好きのぼく一人なら歩いたのだろうが、
そのぼくでさえ半ば顎を出していたくらいだから、
年寄り夫婦のことを考えれば、
かみさんの判断は正しかっただろう。
観光旅行に来て熱中症で倒れたのでは、
シャレにならない。
神戸に移動して南京町(中華街…写真四枚目)と
北野異人館通りを歩く。
猥雑な活気にあふれた南京町は楽しいが、
「異人館通り」はぼくの嫌いな観光地の典型。
ともかく雰囲気があまりに俗っぽくて、
好きになれない。
ただし、
観光スポットからちょっと離れたところに、
魅力的な洋館がひっそりと建っていたりする。
実は叔父は神戸の生まれである。
ただし、幼いころに上海に引き揚げたので、
「山があった」ことしか覚えていないという。
父親(妻の祖父)は洋服店を営んでいたらしい。
華僑の古い方に話を聞くと
神戸には「上海テーラー」と呼ばれる
腕自慢の中国人仕立屋がたくさんいたらしい。
もともと神戸に多く住む西洋人が顧客で、
異人館と南京町(旧外国人居留地)を結ぶ
トアロード沿いに店が並んでいたというから、
叔父が生まれたのも
多分そのあたりだろうと目星をつけた。
トアロードに立てば、
なるほど坂の上には山が見えた。
夕食は、トアロード沿いにあって
古い洋館に店を構える「東天閣」で。
日本料理風に料理一皿の量が少ないので叔父夫婦は笑っていたが、なかなか美味しかった。
コメント
コメントを投稿