こんにちは。今回もスカイマークについてです。これで日本の空を見る。シリーズは本当の一旦最終回です。(何か面白い動きがあれば、適宜書いていきたいです。)
前回までスカイマークが経営破綻した原因となったであろう事を書いていきました。
今回は再建を目指すスカイマークを囲む、周りの動向についてサクッといきます。
混迷の債権者集会
経営破綻して民事再生法の適用を東京地裁に受理されたのが2015年1月28日。そして5月29日に東京地裁に再建計画案を提出します。この時既に、スカイマークの支援に乗り出していたのが投資ファンドのインテグラル。(インテグラルが当面の運転資金を融資したため、倒産は回避)もちろん提出した計画でも、このインテグラルの支援をもとにした計画が提出されていました。その他に計画の中で出資することになっていたのが、ANAホールディングス。そしてUDS(日本政策投資銀行と三井住友銀行により組成されたファンド)です。
この計画案提出により、ようやく再建への道を進めるかと思った矢先に、行く手を阻む動きを見せたのが、アメリカの航空機リース会社のイントレピッド・アソシエーションです。そしてこのイントレピッド案にはスポンサーにアメリカのデルタ航空が入っていたのです。
各社の思惑が交錯する状況でしたが、最終的にはスカイマーク案が債権者集会で可決されます。では各社はどのような思いがあったのでしょうか。
債権回収と発着枠
このような複雑な状況になった原因は、やはり債権回収と羽田発着枠になると思われます。まず2つの計画を見てみましょう。
計画の概要 |
またANAの狙いも同様です。ANAの国際線とスカイマークの国内線を繋げることができ、また国内線だけを見ても共同運航をすることができます。
次は債権回収。そもそもイントレピッドがスカイマーク案に対抗したのは、これが大きな理由です。イントレピッドはスカイマークが使用していたA330をANAが使用するよう協議をしていたようです。イントレピッドとしては、ほぼ前向きに話が進んでいると考えていたようですが、ANAは最終的にこれを断ります。この話が進めば、ある程度資金を回収していけると踏んでいたイントレピッドはANAに不信感を抱き、対抗案を提出します。
またイントレピッド案とスカイマーク案の大きな違いは債務弁済の中間的追加弁済です。イントレピッドはスカイマークに1000億円以上の債権があるとされていましたが、これを300億円取り下げます。そうすると基本弁済(上の表の100万円以下〜の部分)ベースで15億円の余剰ができるので、他の債権者は早く債権の一部を回収できます。債権者集会では有利になりそうな案ですね。
だけどイントレピッドはそれでメリットがあるのか。もし自らの計画が可決されれば、スカイマークにA330を使用してもらったまま、再建を目指すことができるのでイントレピッドも資金を回収できますね。
どちらに向くか分からない展開
今まで見てきた2つの案が債権者集会で正式な計画として決定されます。だけどイントレピッドは大口債権者。イントレピッドが有利に見えます。
実はここで可決されるためには要件が2つあるのです。
・債権額に準じた議決権総額の二分の一以上の同意
・議決権行使者のうち過半数の同意
債権額ベースの議決権の比率 |
しかし結果はスカイマーク案が圧勝します。議決権者174人中の135.5人、議決権総額でも60.25%がスカイマーク案を支持しました。(つまりイントレピッド以外は、ほとんどスカイマーク案を支持)
どうしてこのような結果になったのでしょうか。
これはやはりイントレピッド以外の大口債権者にメリットがある交渉をANAがしたのではないかと思われます。ANAは傘下の航空会社と共に国際線、国内線ともに拡大していこうとしている中で、購入やリースにより機体の導入を約束した可能性が高いです。
債権者集会が行われたのが8月5日です。今後スカイマークはインテグラル、ANAなどのもと再建へと進みます。インテグラルの佐山代表は「3年後の再上場を目指す。」とも言っています。ちなみに直近の月別の搭乗者数はスカイマークは好調に推移しています。
しかし問題はスポンサーであるインテグラルとANAの関係です。ANAが出資したという事は、何のリターンもなく資金を出すはずがありません。(他のLCCなどのようにANAの傘下にすることを狙う可能性は高いと思います。)
スカイマークはANA、JALに対抗する第三極として生まれた会社です。またその第三極の位置付けは利用者も料金面などからも期待している部分です。
今後のインテグラルの手腕が問われてきそうですね。
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