10年位前、競輪入門(←正確なタイトルは失念)なる本を読んでいたら次のような記述があって衝撃を受けました。
競輪選手の世界は縦社会であり、同郷の後輩は先輩を立てるのが普通である。例えば同郷の後輩が先輩に控え室で
「なぁ、オレ今日はどうしても勝たなきゃなんねぇんだよ、よろしくたのむわ」
と言われれば、通常後輩は先輩を立てて勝負を譲るのである。これは八百長ではない。競輪とは控え室でのこういった会話をも含めて予想するゲームなのである。
「これは八百長ではない。」って堂々と言うか・・・
どう考えても八百長です。
本当にありがとうございました(^人^)
と、思わず本にツッコミを入れたくなったのは置いといて、その後に続く「控え室でのそういった会話をも含めて予想するゲームなのである」というのは、なるほど、これは新鮮な視点だと妙に共感してしまいました。
こういう視点は投資でも持っていて損はないのでは。
例えば中国株・・・。
中国企業でまあ安心して買えるのはせいぜいNYでADRを上場している銘柄くらいです。ADRを上場するには米国会計基準による監査を受けているはずだからです。
その他の企業ではインサイダー、粉飾など「コンプライアンスってなんすか?」ということが日常的に行われていると考えるのが妥当。
インサイダーや粉飾決算はその情報を知っている者は圧倒的に(見つからない限り)ローリスクハイリターンな取引が可能ですから、絶対に許されるものではありません。
が、そうは言ってもカネに汚い中国人のことですから、まあやってるでしょう。
実際、ある投資銀行マンの話では中国企業のM&Aの際にデューデリジェンスを行うと、会社のカネがいつのまにか社長の口座へ流れていることなど日常茶飯事。その確率たるや日本の新興企業の比ではないらしいです。
そんな話を聞いてしまうと、社長自身がインサイダー情報を流して自分の息のかかった所に取引させてたりしてるんじゃ・・・とか、いくらでも疑いの目を持ってしまいます。
その点、日本株など先進国の株は、市場はダメダメでもそういった面でははるかに信用できます。
話は変わって例えばFX・・・。
とある噂では大手のヘッジファンドなどでは、インターバンク市場に情報網を持っていて、どのプライスにどれだけのストップロスオーダーがセットされているか等を知ることが出来るそうです。
本当かどうかは分りませんし、一個人の立場で裏の取りようもありませんが、それが事実ならそのプライスまで売り仕掛ければ、ストップロスが次々に発動。滝落ちしたところで買い戻せば大もうけです。
もしかしたら、去年の夏の大波乱なども、こういう仕掛けがあったのかもしれません。
そういった類のことが行われていないことを切に願っていますが、行われている可能性も頭の片隅に置いておいて損はないような気がします。
では、もしそうだとしたらどういう対応をしたらよいのか。
最初に思いつくのは、長期投資戦略。
例えば好材料インサイダー情報で儲けるには、情報公開前に仕込み、公開されたタイミングでその情報を見て買いに来た人たちに売りつけて儲けます。
すると、公開後の最初の取引成立時にその情報は価格に全て織り込み済みとなってしまい、そこからどんどん買い上げられる可能性は低くなります。
つまり、一番損するのはニュースを見て買いに来たその他の善良な短期トレーダー達です。
長期であれば、投資した時点でそんな情報が出ることは想定もしてないし、どうせ時間が経てば公開される情報ですから、儲かるにしても損するにしても結果は同じ。
つまり長期投資はそういった輩の戦略を100%無効にすることが出来ます。
それとは別のアプローチで、そういう変な価格変動する所の統計上の歪を見つけてきて逆に利用してやろうと言うスティーヴン・D・レヴィットのような面白い人物もいるかもしれません。
しかし研究して何か面白い戦略を思いついてもいざ実践となると、そういう優秀な人に限って、えてして自分が作った戦略を他人も思いついているのではと考えてしまいます。
すると、裏の裏を読もうとして疑心暗鬼の無限回廊に入り、とても大金では実践できません。
結局、今日は投資というものをそういう八百長込みで考えてみたけど、怠け者の私はそういう化かし合いに労力をつぎ込むのは面倒だし、買ってほったらかしにしてた方がずっとマシだと思いました。
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